2011年4月24日日曜日

MSP430G2221の折損したピンについて

さきのエントリーで、MSP430G2221のRSTピンが折損したと書きましたが、実はTESTピンの誤りでした。

TESTピンが折れているのに何故デバッグができていたのかという理由を考えた所、ターゲットボードにはICEとの接続端子を設けずに、LaunchPadでプログラムを書き込んでから、ターゲットボードのICソケットに挿入するという手法をとっていたたと考えられます。

LaunchPadのICソケットはICのピンとのコンタクト部が絶縁樹脂の上面に露出しており、たまたま配線が繋がったことで、デバッグ用のピンが折れたマイコンチップに対するデバッグができていたものと推測できます。

なお、さきのエントリーでは、MSP430G2221内蔵の水晶発振回路が動作しないと書いておりましたが、単にプログラム中で水晶発振器が安定するまでの待ち時間を長く取りすぎていただけのことでした。

ターゲットボードの機能とプログラムについては、近日中に公開したいと思います。

2011年4月18日月曜日

MSP430G2221のRSTピンが折損

前回までのICE機能のテスト用とは別のターゲットボードを試作しました。

秋葉原で購入した、MSP430を搭載する予定のICソケットが不良品で、MSP430G2221にLaunchPadでプログラムを書き込んだ後、ターゲットボードに取り付けたICソケットに挿入したらRSTピンが折れてしまいました。

この状態で、デバッガ(CCS)との接続ができるかどうか試したところ、デバッガから認識する事は出来ました。

さらに、プログラムを書き換えて、更新させる事もできています。

なぜか、リセットする事もできており非常に不思議なのですが、資料を良く調べる必要がありそうです。


4/19追記。資料の調査はまだなのですが、現象としてはMSP430に内蔵された水晶発振回路が正常に起動しなくなっています。

2011年4月10日日曜日

LaunchPadをICEとして使う(2)

さきに、同一電源を使って制御不要なレベルトランスレータ(TXS0104EDR)を使った、LaunchPadのICE化という記事を書きましたが、今回はその続報です。

前回、紹介した回路の主要部分の回路図(EAGLE CADで描画)を示します。

上記の回路図では、水晶振動子やI2Cスレーブなどは省略しています。

回路図中のIC1がレベルトランスレータのTXSE0104EDRとなり、IC2は14ピンまたは20ピンのMSP430G2xシリーズのMCUを挿入するICソケットとなっています。

この回路はPCとのLaunchPad基板上のUSB-UART変換入出力(TXD,RXD)とSpy-By-Wire(TEST,RST)の合計4本の線のレベル変換をIC1で行って、IC2とLaunchPad側のICE機能ブロックを接続するようになっています。

操作時に注意すべき事は、さきにVCCBの電源投入、すなわちLaunchPadへの接続を行ってからVCCAの電源投入、すなわちターゲットボードの電源投入を行う必要がある点です。電源を切るときも、先にVCCAを切ってからVCCBを切るという手順になります。

これらはTXSE0104Eの仕様からの制約事項ですが、さきのエントリで書いた、TC74LCX07を使った場合どうなるか、近いうちに試してみたいと思います。

なお、このエントリーを書いた時点では、JP1を開放してVCCAにエネループ2本(約2.5V)を接続した状態でMSP430G2221のプログラミングと実行が出来ておりますが、ターゲットボード上のI2Cスレーブとの接続がうまく行っていない段階です。

おそらく、5月の連休くらいにはI2Cを動かせるようになるのではないかと、楽観的に考えております。

などと書いていたら、I2Cスレーブデバイスの未配線箇所と誤配線箇所を発見してしまいました!

というわけで、連休前にはI2Cスレーブデバイスとの接続について紹介できるかもしれません。

2011年4月9日土曜日

LaunchPadをICEとして使う(1)

マイコンのソフト開発はつい最近始めたばかりなのですが、ターゲットシステムにマイコンを入れ込んだ状態でデバッグができる方が、当然の事ながら便利です。

LaunchPadでは一般的なJTAGではなく、Spy-Bi-Wireと呼ばれる2線式インタフェースを使ってターゲットデバイスに対するプログラムの書き込みやデバッグなどを行うように作られており、そのためのコントローラがLaunchPadの基板上に搭載されています。

デバッグ用のインタフェースは2線式なので、当然の事ながら双方向となる線があります。しかも、方向を制御する信号はコントローラからは出ていません。

実は、これが問題でありまして、例えばターゲットシステムの電源電圧とLaunchPadの電源電圧は、LaunchPadの電源電圧をトレースするように、自動的に出力電圧を制御するような電源をターゲットデバイスの電源として使用するような場合を除くと、ほとんどの場合は異なります。

適当なレベルシフタを間に入れるのが良いのですが、双方向かつ制御信号なしという条件では非反転のオープンドレインバッファとプルアップ抵抗を組み合わせることになります。

この場合、片方は電源電圧より高い入力電圧に耐えるバッファを、もう片方は電源電圧より高い出力端子電圧に耐えるバッファを選定する事になります。


図に示した回路は、VCC1>VCC2と仮定しています。バッファの電源はVCC2を使い、VCC1系からVCC2系へのバッファには入力トレラント機能付き、VCC2系からVCC1系へのバッファは出力電圧トレラント機能付きのバッファを使います。

東芝がそのような用途向けのICを色々出していますが、品種が多くパッケージも色々あるので、間違いなく選ぶのがやや面倒ですが、例えばTC74LCX07などが適当といえるでしょう。

ところが、LaunchPadのメーカーでもあるTIが、「レベルトランスレータ」という、制御信号不要で双方向のレベル変換ができるという、Spy-By-Wireを異電圧電源システム間で接続するために開発されたとしか思えない製品を販売していました。

パッケージは最大サイズでSOIC(1.27mmピッチ面実装)ですが、取り寄せて試してみる事にしました。取り寄せた製品はTXS0104EDRです。型番はTXS0104Eに加えて、1.27mmピッチのSOICパッケージであることを示す「D」と梱包形態がテープリールであることを示す「R」ということになっています。

手始めに、LaunchPadからの電源をターゲットマイコンに供給して、Spy-By-Wireによる接続がうまく行くか試しましたが、最初はデバッガ(Code Composer Studio)でうまく認識されず、色々調べたものの良く分からず、結果ピッチ変換基板とICの半田付け部を再加熱したら認識されましたので、半田不良だったようです。

今のところ、ここまでしかテストしていませんが、ターゲットシステムにはI2Cエクスパンダと2桁の7セグメントLEDを取り付けているので、週末を利用して色々とテストしてみたいと思います。


最初、不等号の向きが逆だったので訂正しました。

2011年4月2日土曜日

圧電素子による発電について思うこと

世の中では熱や騒音、振動など様々なエネルギーが捨てられていますが、発電床などのように運動エネルギーの一種である振動から圧電素子を用いて電力を獲得しようとする技術の研究が行われています。たまたま見かけた下記の記事によれば、電圧は3Vとれるものの電流は1μAと極めて小さな電力しか得られないとの事でした。

「心臓の鼓動」で発電し、iPodや携帯電話を動作させるための技術が登場

振動から電力を得る方法の原理を簡単に言えば、セラミックコンデンサに衝撃を加えて誘電体に圧電効果により、過渡的な電圧パルスを発生させるという事になるので、変換可能なエネルギーはおそらく圧電素子の静電容量との相関があるのでしょう。

また、発生した電圧パルスは様々な周波数成分を含むことから、直接交流電源や直流電源として使用することはほぼ不可能と考えてよいでしょう。

さきの記事で1μAの電流が得られたとありますが、これについてもどのような周波数成分の事なのか葉きりとは書かれていませんでしたが、引用元のデイリーテレグラフの記事のタイトルはApple iPod 'could be charged by the human heart'となっているように、容量の大きなコンデンサや二次電池に蓄えて利用することを前提としてタイトルがつけられています。

もっとも、引用元でもどの周波数成分で何A取り出せるかという事には触れていませんでした。

充電して使うことを前提としている以上、最終的には直流(0Hz)で使用する想定になっているのでしょうが、圧電素子から発生する電力の周波数分布は、おそらく加えられる振動の状況によって変化するはずですので、発生した電力を有効に使うには電力ロスの少ない整流回路が必要になるでしょう。

そこで、ちょっと思いついたアイディアですが、ショットキーダイオードと面実装の大型大容量積層セラミックコンデンサを組み合わせて、コンデンサを実装した基板が周囲の振動を拾うようなものを作ると、案外効率的に電力を得られそうなので、そのうちやってみたいと思います。

何て事を書いていたら、こういうものが見つかりました。

LTC3588-1 - 圧電 環境発電(エナジーハーベスト)電源
まあ、整流器とDC-DCコンバータを内蔵していて、外付けの充電用コンデンサに蓄えた電力を供給する仕組みですので、上記のアイディアを半導体製品化して売り出し中であると言ったところですね。

フォロワー