2012年8月25日土曜日

ディスクリート部品によるSpy-Bi-Wire電圧コンバータ(その1)

MSP430を2本の線でデバッグできる、I2CライクなSpy-Bi-Wireを、3.6V電源で動作するLaunchpadから引き出して、エネループ2本(約2.5V)で動作するシステムに接続する方法として、レベルトランスレータと呼ばれる双方向レベルコンバータのTXSE0104Eを使用したものを、以前製作して使用していましました。

この方法の良い点は確実に動作させられることと、使い方が簡単であるということですが、TXSE0104Eは入手経路が限られるという問題もあります。他方、I2Cの参考資料に掲載されているMOS-FETを使用したレベル変換方式では、使用するMOS-FETの特性が重要になってきます。

デバッグのターゲットとなるシステムの電源電圧は2.5Vですので、MOS-FETのVthがそれよりも十分低い必要があります。また、ソース-ドレイン間の寄生ダイオードのVFも十分に低い必要があります。

まず、Vthの条件を満たすMOS-FETとしてはBS108またはBSS138が候補に挙がりました。秋葉原でも入手可能な部品という点ではBSS138が秋月電子通商で販売されているので、こちらを選定しました。

ただし、寄生ダイオードのVFとしては、440mAをパルス状にして流したときのデータしかなく、Typで0.8Vと比較的高い値を示していました。このため、今回の実験ではVFが0.3V程度と比較的低いショットキーダイオードのBAT43をMOS-FETのソース-ドレイン間に並列接続しています。

上の図に示した回路構成の電圧コンバータをLaunchpadとターゲットとなる回路に接続して、CCSから接続テストを行った結果、デバイスの認識とプログラムの書き込みに成功しました。

次のステップとしては、MOS-FETと並列に挿入しているショットキーダイオードを外したらどうなるか、というあたりの実験をしてみたいと思います。その理由は、Spy-Bi-Wireで接続した際に流れる電流は440mAよりもはるかに小さく、寄生ダイオードのVFの値もデータシートに示される値より十分小さくなることが期待できるためです。

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