2013年5月15日水曜日

久々の更新

最新の投稿が今年の2月となっておりまして、少々驚きました。

つい最近、秋葉原の千石電商に行ったところ、MSP430 Launchpadが\1,050(税込み)に値上がりしており、円安の影響の大きさを感じました。

さて、ここで円高の時に仕入れた、MSP430 Launchpad関連アイテムの頒布のお知らせをさせていただきたいと思います。

以上、宣伝でした。

ちなみに、8ピンのMSP430を使ったネタを現在検討中です。

2013年2月10日日曜日

MSP430 LaunchPad用 Spy-Bi-Wireアダプタキット

あらまし

先に実験を行っていた、MSP430 LaunchPadからSpy-Bi-Wireの信号線を引き出して、LaunchPadの3.6Vとは異なる電圧電源のシステムに搭載されたMSP430マイコンのSpy-Bi-Wire端子と接続するためのアダプタのキット化を行いまして、コミックマーケット84にて頒布しましたが、その回路方式と機械的な実装方式について紹介します。


まえがき

安価なMSP430 LaunchPadを、ターゲットシステムの電源電圧がMSP430の動作電圧範囲(1.8V~3.6V)全域にわたって対応可能なICEとして使用できるようにするための、レベル変換アダプタを検討していました。

LaunchPadから引き出すことができるデバッグ用の信号であるSpy-Bi-Wireは、2本の信号線で構成されており、その構成は単方向の信号であるSBWTCKと、双方向の信号であるSBWTDIOの2本です。SBWTDIOの方向制御を行う信号は出力されないため、高圧→低圧と低圧→高圧の双方向レベル変換を制御信号なしで行う必要があります。

当初は、双方向レベル変換専用ICのTXS0104Eを使用していましたが、I2Cの仕様書に掲載されていたMOSFETとその寄生ダイオードを使う方式を基にした回路方式の実験がうまく行きましたので、その方式を元に基板を製作してキット化しました。

基板については、TIから発売されているLaunchPad用の容量性接触センサのモジュールの実装方式を参考に、LaunchPadの基板両端にある10ピンピンヘッダ取り付け用の穴と同一位置に10ピンのソケットもしくはピンヘッダを取り付けることで、基板をスタッキングできるようにしています。

また、ターゲットシステムへの接続は10芯のフラットケーブルを使用してSpy-Bi-Wireの2本の信号とターゲット側の電源及びグランドの接続を行う仕組みとしています。フラットケーブルと接続するコネクタのピン割り当ては5ピン×2列の構成に対して隣り合う列のピンに同一の線を接続し、ケーブルには極性キーのないコネクタを両端に圧接することでコネクタの接続方向の自由度を高める工夫を加えています。

回路方式

回路構成は回路図の通り、ごく単純なものです。

回路図の左側が低圧(ターゲットシステム)に接続される部分で、回路図の右側に示した2個の10ピンの端子が高圧(LaunchPad)側に接続される部分となります。

低圧(ターゲットシステム)側は低圧(ターゲットシステム)側の信号にMOSFETのソースを接続するとともに低圧側のVCCでプルアップし、ゲートは単純に低圧側のVCCに接続しています。また、低圧側から高圧側に電流を流せるように寄生ダイオードと並列にVFの小さなショットキーダイオードを接続しています。

動作としては、ターゲット側から信号がLowにドライブされてVGS>VthとなったときにMOSFETがONになりMOSFETによって高圧(LaunchPad)側の信号線がLowにドライブされることを利用した低圧→高圧レベル変換と、高圧側から信号がLowにドライブされたときダイオードを通じて低圧側の信号線がLowにドライブされることを利用した高圧→低圧レベル変換の機能を、一本の信号線上に付加した形になります。

基板レイアウト及び組み立て方法

基板レイアウトの特徴

両サイドの10ピンコネクタ(ソケットまたはピンヘッダ)は、LaunchPadの表側または裏側に取り付けられるように配置しています。

中央のフラットケーブル接続用10ピン(5×2)コネクタは、LaunchPadとは反対側の面に取り付けるようにしていますが、このときLaunchPadに接続される側の信号線のプルアップ抵抗R1の配置が不適切であったために、コネクタのシュラウドと干渉してしまいます。

LaunchPadに接続される側の信号線についてはLaunchPad上にプルアップ抵抗が実装されていますので、このアダプタでは必ずしも取り付けなくても構いません。

組み立て方法

基板は鉛フリーハンダによるハンダメッキ仕上げになっていますので、鉛フリーハンダを使用する工具が使用可能です。

面実装部品の取り付け

最初にMOSFET、ショットキーダイオード、抵抗の各面実装部品を基板に取り付けます。このとき、このアダプタをLaunchPadの裏に取り付けるようにする場合はR1を取り付けないようにします。

ソケット及びフラットケーブルコネクタの取り付け

LaunchPadの部品実装面側にこのアダプタを取り付ける場合
10ピン×1列のコネクタを面実装部品を取り付けた側の面に取り付けます、フラットケーブルコネクタはその裏面に取り付けます。
LaunchPadの部品実装面の裏側にこのアダプタを取り付ける場合
10ピン×1列のコネクタを面実装部品を取り付けた面の裏側に取り付けます、フラットケーブルコネクタはその裏面に取り付けます。

基板両サイドに1列×10ピンのコネクタ(ソケットまたはピンヘッダ)を取り付けますが、このときLaunchPadの1列×10ピンのピンヘッダ(またはソケット)に取り付けてからアダプタの基板をかぶせるようにして取り付けるとハンダ付けが簡単に出来ます。

まとめ

LaunchPadに直接搭載することが可能な、I2Cのレベル変換回路を基にしたSpy-Bi-Wire用レベル変換アダプタの紹介をいたしました。

再度の頒布については追って公表する予定です。

2013年1月14日月曜日

秋月電子のチップ部品用ユニバーサル基板

秋月電子では、オリジナルのユニバーサル基板の取り扱いが行われていますが、そのような中に面実装部品用のユニバーサル基板というものがあるので、使ってみたことがあります。

サイズをきちんと測ったわけではないのですが、SOT-23-3の部品と1608(メトリック)サイズの部品はうまく実装できました。

ところが、1.27mmピッチの14ピンICを実装しようとすると、ショートしてしまう箇所があることが分かりました。

そいういうわけで、長方形のランドのサイズを測ってみると、短辺が0.8mm、長辺が2.2mm、短辺側のピッチが0.95mm、長辺側のピッチが2.35mmでした。

ピン間隔が広くてピン数が少ないディスクリート半導体や受動部品を付けるには十分なようですが、ピン数が多いICやピン間隔が狭い部品の場合は注意が必要なようです。


SMDプロトタイピングガラスユニバーサル基板(1.6mm厚)Cタイプ(72x47mm)

2012年11月24日土曜日

Spy-Bi-Wireアダプタ実験(続き)

先日のディスクリート構成のSpy-Bi-Wireの電圧変換用アダプタにエントリで、MOS-FETのソース-ドレイン間にショットキーダイオードを入れない状態で、きちんと認識されるかどうかテストするのが今後の課題という旨の内容を書きましたが、DesignSpark-PCBで設計した基板が出来上がりましたので、それを使ってテストしました。

結果から言うと、ショットキーダイオード抜きでは正常に動作しませんでした。

考えられる原因は使用しているMOS-FET(BSS138)の寄生ダイオードでの電圧降下が大きすぎるということです。

MOS-FETの寄生ダイオードの詳細な特性は、データシートにも記載されていないので、折をみてきちんと測定したいと思います。

ちなみに、MOS-FETの寄生ダイオードがこの用途に不向きで、別途ダイオードをつけるのであれば、FETにこだわらなくてもバイポーラトランジスタでもこの機能を実現可能です。バイポーラトランジスタの場合はベース抵抗が必要なので、プロトタイプを作成して実験してみたいと思います。

2012年10月11日木曜日

DesignSparkで基板設計

RSコンポーネンツという電子部品の販売会社が配布している、DesignSparkという回路図と基板用のCADソフトを使って、先日作成したディスクリート部品によるSpy-Bi-Wireのアダプタ基板を設計してみました。

接続方法としては、LaunchPADのRev1.5以降で基板に実装されているピンヘッダに、基板のはんだ面に実装したソケットを使って主回路の部分をLaunchPADに固定し、ボードインコネクタに取り付けたフラットケーブルと、フラットケーブルの末端に取り付けた圧接コネクタを用いてターゲット基板に接続するというものです。

回路図は図のような感じで、10ピン1列のソケットとMOSFETのBSS138、ショットキーダイオードのBAS40がライブラリに入っていなかったので、ライブラリを作成しましたが、既存のシンボルとPCBフットプリントを使えると至極簡単に作成できます、もっとも一から作ろうとすると習熟は必要なようです。

PCBについては、比較的簡単に裏面への配置も出来ますし、配線後の部品の移動やビアの移動が簡単に行えますが、Eagleのように簡単には寸法を測った記録を残しておけないようです。

PCBに関しては3Dでも見られるので、裏面に配置すべき部品と表面に配置すべき部品が正しく配置されたかどうかを容易に確認できますが、問題点としてはライブラリエディタで作成した部品の高さ方向の情報が正しく設定できない点くらいですね。

ちなみに、回路にLEDを挿入した目的は、ターゲット側のコネクタを反対向きに接続したときには赤、正しく接続したときには緑の光を出すことで、誤接続を容易に確認できるようにすることです。

2012年9月23日日曜日

MSP430時計のソフトウェアをアップデート

昨年製作して、MTM07とC81で展示していたMSP430を使った時計のソフトウェアを更新し、時刻合わせの機能を付加しました。

最近の電子式時計では操作用の押しボタンスイッチが機能別に複数取り付けられているようで、1つのボタンを長押しとそれ以外で機能を共用させる方式は流行らない様なのですが、汎用ポートの数が限られているのでスイッチの数を抑制する方向で設計しました。

コメント等がほとんど無く、不要なマクロ定義がありますが、暫定版として公開いたします。


#include  

// State Machines That Gray Coded Style
#define INITIAL   0x00 // bin 0000_0000
#define HOLD      0x01 // bin 0000_0001
#define MIN_SET   0x03 // bin 0000_0011
#define HUR_SET   0x04 // bin 0000_0100
#define CNT_DN    0x07 // bin 0000_0111
#define ALARM     0x06 // bin 0000_0110
#define STOP      0x05 // bin 0000_0101
#define SET_CLOCK 0x08 // bin 0000_1000

unsigned char state; // External Variable Used to Keep State 
unsigned int set_min;
unsigned int set_hour;
unsigned char cnt_dn;
unsigned char intf;
unsigned char ccintf;
unsigned char sec;

unsigned char length;

unsigned char gstate;

static unsigned char hour,min,min_base,hour_base;

void sr164_set (unsigned char hour, unsigned char min) {
 unsigned char i,h,m,s;
  h = hour;
  m = min;
 
 for(i=0;i<16;i++){
  if(i<8){
   P1OUT &= 0x2F;
   s = 0x80 & h;
   if(s){
    P1OUT |= 0x80 + 0x20 + 0x0C;
   }else{
    P1OUT &= 0x7F;
   }
   h = h * 2;
   P1OUT |= 0x4C;
  }
  else{
   P1OUT &= 0x2F;
   s = 0x80 & m;
   if(s){
    P1OUT |= 0x80 + 0x20 + 0x0C;
   }else{
    P1OUT &= 0x7F;
   }
   m = m * 2;
   P1OUT |= 0x4C;
  }
 }

}

void set_clock(void){
 unsigned char lstate;
 P1IE &=~0x0C;
 lstate = 0;
 
 while ((P1IN & 0x08)==0);
 
 while (lstate < 2){
  while(lstate == 0){
   if(((P1IN & 0x04)==0)){
    if(min_base<59){
       min_base++;
      }else{
       min_base=0;
    }
    min = ((min_base/10) * 16) + (min_base % 10);   
    sr164_set(hour,min);
    while((P1IN & 0x04)==0);
   }else if((P1IN & 0x08)==0){
    lstate++;
   }
  }
  
  while ((P1IN & 0x08)==0);
  P1OUT &=0x2C;
  
  while(lstate == 1){
   if(((P1IN & 0x04)==0)){
    if(hour_base<23){
       hour_base++;
      }else{
       hour_base=0;
    }
    hour = ((hour_base/10) * 16) + (hour_base % 10);   
    sr164_set(hour,min);   
    while((P1IN & 0x04)==0);
   }else if((P1IN & 0x08)==0){
    lstate++;
   }
  }
 }
 TACCTL0 |= CCIE;
 gstate = INITIAL;
}

void main (void)
{
  volatile unsigned int i,j,m,n,p,q;
  
  // Initial Settings
  cnt_dn = 0;
  intf = 0;
  ccintf = 0;
  sec = 0x00;
  set_min = 0x00;
  set_hour = 0x00;
  length = 0;
  gstate = INITIAL;
  //state = INITIAL; // State Machine Initialize
  
  // X'tal and Timer Settings
  WDTCTL = WDTPW + WDTHOLD;                        // Stop watchdog timer
  BCSCTL3 |= XCAP_3;                               // Set X_CAP 12.5pF
  TACTL = TASSEL_1 + MC_1 + TACLR;                 // ACLK, up mode, Timer CLR
  TACCTL0 = CCIE;
  CCR0 = 0x7FFF;                                   // Set TACCR0 to 16383
  
  // GPIO Settings
  P1DIR |= 0xF3;                                   // Set LED Port Output
  P1IE |= 0x0C;                                    // P1.3, P1.4 Interrupt Enable
  P1IES |= 0x0C;                                   // P1.3, P1.4 Fall Edge Interrupt Enable
  P1IFG &= ~0x0C;                                  // P1 Interrupt state Cleared
  P1OUT=0xEF;
  
  // When X'tal OSC is fault, Red LED Blink
  while (BCSCTL3 & LFXT1OF) {
    // Blink LED and Buzzer
    for(j=80;j>0;j--){
     P1OUT ^= 0x03;
     for(i=63;i>0;i--){;}
    }
  }

  /* Assign Slow Clock to System Clock */
  BCSCTL2 |= SELM_3 + SELS; // MCLK and SMCLK assigned to CPU and Peripheral Clock
  _BIS_SR(LPM3_bits - CPUOFF + GIE);

 P1OUT &= 0xAC;
 P1OUT |= 0x2C;
 
 sr164_set(0xFF, 0xFF);

// sr164_set(0x00,0x00);
 
 hour = 0x00;
 min = 0x00;
 hour_base = 0;
 min_base = 0;
 i = 0;

 while(1){
  
  if(ccintf==1){
     ccintf=0;

     if(((P1IN & 0x08)==0) && (length < 3)){
      length++;
     }else if(length > 2){
      length = 0;
      gstate = SET_CLOCK;
     }else if(P1IN & 0x08){
      length = 0;
     }
    
     if(intf>0){
    if(sec & 0x0001){P1OUT &= 0xAC;}
    else if(~(sec & 0x0001)){P1OUT |= 0x2F;}
     }
     if(gstate == SET_CLOCK){
      P1OUT |=0x2F;
      set_clock();
     }else if((cnt_dn>0) && (sec==0)){
    sr164_set(hour,min);
    cnt_dn--;
   }else if(cnt_dn == 0){
    sr164_set(0xFF,0xFF);
    P1OUT &= 0xAC;
    intf=0;
      P1IE |= 0x0C;
   }
  }
    if((TAR & 0xFFFF)!=0){
   TACCTL0 |= CCIE;
    }

  if(intf==1){
   sr164_set(hour,min);
   intf = 2;
  }     
 }
}

#pragma vector=PORT1_VECTOR
__interrupt void Port_1(void){
  volatile unsigned int i,j;
  P1IE &=~0x0C;
  if(~(P1IFG & 0x08)|~(P1IFG & 0x04)){
   P1IFG &= ~0x0C;
   cnt_dn = 3;
   intf = 1;
  }
}

#pragma vector=TIMERA0_VECTOR
__interrupt void Timer_A(void){
   TACCTL0 &= ~CCIE;
   TACCTL0 &= ~CCIFG;
   if(sec<59){
    sec++;
   }else{
    sec=0;
    if(min_base<59){
   min_base++;
  }else{
   min_base=0;
   if(hour_base<23){
    hour_base++;
     }else{
    hour_base=0;
    }
  }
   }
   
   //  sr164_set(0xFF,sec);
 min = ((min_base/10) * 16) + (min_base % 10);
 hour = ((hour_base/10) * 16) + (hour_base % 10);
   
   ccintf = 1;
}


2012年8月25日土曜日

ディスクリート部品によるSpy-Bi-Wire電圧コンバータ(その1)

MSP430を2本の線でデバッグできる、I2CライクなSpy-Bi-Wireを、3.6V電源で動作するLaunchpadから引き出して、エネループ2本(約2.5V)で動作するシステムに接続する方法として、レベルトランスレータと呼ばれる双方向レベルコンバータのTXSE0104Eを使用したものを、以前製作して使用していましました。

この方法の良い点は確実に動作させられることと、使い方が簡単であるということですが、TXSE0104Eは入手経路が限られるという問題もあります。他方、I2Cの参考資料に掲載されているMOS-FETを使用したレベル変換方式では、使用するMOS-FETの特性が重要になってきます。

デバッグのターゲットとなるシステムの電源電圧は2.5Vですので、MOS-FETのVthがそれよりも十分低い必要があります。また、ソース-ドレイン間の寄生ダイオードのVFも十分に低い必要があります。

まず、Vthの条件を満たすMOS-FETとしてはBS108またはBSS138が候補に挙がりました。秋葉原でも入手可能な部品という点ではBSS138が秋月電子通商で販売されているので、こちらを選定しました。

ただし、寄生ダイオードのVFとしては、440mAをパルス状にして流したときのデータしかなく、Typで0.8Vと比較的高い値を示していました。このため、今回の実験ではVFが0.3V程度と比較的低いショットキーダイオードのBAT43をMOS-FETのソース-ドレイン間に並列接続しています。

上の図に示した回路構成の電圧コンバータをLaunchpadとターゲットとなる回路に接続して、CCSから接続テストを行った結果、デバイスの認識とプログラムの書き込みに成功しました。

次のステップとしては、MOS-FETと並列に挿入しているショットキーダイオードを外したらどうなるか、というあたりの実験をしてみたいと思います。その理由は、Spy-Bi-Wireで接続した際に流れる電流は440mAよりもはるかに小さく、寄生ダイオードのVFの値もデータシートに示される値より十分小さくなることが期待できるためです。

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